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2011年11月12日土曜日

Ashtavakra Gita のE-Text

ネット上にAshtavakra Gita のE-Text がいくつかありますが、比較してみると結構間違いがあるので、自分でE-Text を作ることにしました。

最初に下敷きにしたのはこれ。調べてみると結構間違いがたくさんあります。
Sanskrit text with English Transliteration & Translation by John Richards
http://www.scribd.com/doc/54192897/

次に上のに比べてかなりよく修正されているのがアーナンダ・ウッドのテキストで複合語も単語間をハイフォンで繋いで示しているので助かります。
Ashtavakra-samhita by Ananda Wood
http://sites.google.com/site/advaitaenquiry/Ashtavakra.pdf

これとほぼ同じテキストがここにあります。
http://gretil.sub.uni-goettingen.de/gret_utf.htm#Astavg

それで最終的に Nityaswarupananda のデーヴァナーガリーのテキストと比較して残された間違いを消していっているところです。1940年版と1953年版があります。下のリンクは1940年版です。
 http://www.scribd.com/doc/2673274/AshTavakra-Geeta


ITRANS で転写して、ITRANSLATOR で変換してデーヴァナーガリーと IAST のテキストを作成するのですが、同じ単語でも表記の仕方がいくつかあるので、Nityaswarupananda のテキストに合わせて最後は手で編集することにしました。

デーヴァナーガリー文字の場合フォントによって、表現できる結合文字の数に違いがあるので、できるだけ多くの結合文字を使えるようにまずフォントを選ばないといけません。それでITRANSLATORのホームページからSanskrit2003.ttf と svayambhava.org から Chandas.ttf 等をダウンロードしてインストしました。


参考までにフォントによって結合文字の表現がどのように変わるかいくつか例を挙げてみました。
まずṅgaを見てみるとMangal では縦の結合文字が表示できません。

ddhaではどのフォントも結合文字が表示されますが、一字追加してddhraになるとMangalで結合文字が表示できずに、最初のdがヴィラーマでの子音表記になります。さらに一文字追加してddhryaになるとSanskrit2003でも結合文字が表示できずに最初のdがヴィラーマを用いた表記になります。ChandasとSiddhantaでは結合文字表記できますが、字の形が違いますね。

次のjjaの三つの表記方法は入力の仕方によって表現できるものです。
ज(ja)+ヴィラーマ+ज でjjaの結合文字が表記できます。(Mangalにはjjaの結合文字がないので表記できません。)Sanskrit2003では水平方向の結合になっているのに対し、残りの二つでは垂直方向の結合文字になります。
ज+ヴィラーマ+ZWJ+ज でjの半体を用いた表記になります。ZWJはゼロ幅接合子(Zero-width joiner U+200D)
ज+ヴィラーマ+ZWNJ+ज で半体にならずヴィラーマ自体が表示される表記になります。ZWNJはゼロ幅非接合子(Zero-width non-joiner, U+200C)

Nityaswarupananda のテキストから実例を挙げてみます。アシュターヴァクラ・ギーターの2章7節ですが、上段にjjaの水平方向の結合文字、下段にjjの半体表記とヴィラーマによる表記があります。

2011年10月5日水曜日

前田専学のシャンカラに関する著作について

今日、前田専学の “A THOUSAND TEACHING: The Upadeśasāhasrī of Sankara” が届きました。実はサンスクリット原典の校訂本 “Sankara's Upadeśasāhasrī” と間違えて注文したもの。現在校訂本を注文中です。こちらの方は校訂テキストと英訳の二巻セットです。AbeBooksで検索すると一番安くてインドからの送料込みで2650円ぐらい。(ちなみに英訳本は古書で1000円未満で購入)。

購入のきっかけはアシュターヴァクラ・ギーターに付託[錯覚、superimposition]の例として第2章9節に真珠母と銀、縄と蛇、太陽光と[蜃気楼の]水が挙げられていますが、トーマス・バイロンの訳註に世界の幻影的性質を示す不二一元論の定番のたとえであると書かれていました。岩波文庫本『ウパデーシャ・サーハスリー』で確認すると、三つとも見つけることができましたが、どういう言葉使いをしているのか原典で確認したくてネット上のサンスクリットテキストで確認していたら、多くの誤植・脱落を発見して正確なテキストが欲しくなったためです。

最初に前田専学校訂のサンスクリット原典をitransで転写したものと、それから生成されたデーヴァナーガリー文字のPDFで見ていたのですが、散文編の第2章に脱落があるのを見つけました。これは散文編だけのPDFがあったので補うことができました。次に、itrans で~Ngがすべて~ng になっているのを検索して一つ一つつぶしていきました。

そうこうしているうちに韻文編の第17章のナンバリングがずれているのに気づきました。どこかで番号をつけ間違えたのだと思い、インドで出版されたシャンカラの全集や英訳と比較していたら、本来89詩節なければならないのに、88しかありません。原典の17章の第24詩節が欠落していたのでした。

この24詩節目がどこかに転写されていないか探したのですが見つからないので、シャンカラの全集と英訳本のPDFのデーヴァナーガリー文字を解読していくことにしました。サンスクリット文法は独学しようとして何度も挫折し、結局、涌井和著『般若心経を梵語原典で読んでみる』しかやり遂げることができなかったぐらいの学力ですので複合文字にてこずりましたが、次のようになりました。


manasashcendriyANAM ca hyaikAgryaM paramaM tapaH |
tajjyAyaH sarvadharmebhyaH sa dharmaH para ucyate ||
(itransですがchをcで転写しています。 )
これをソフト的にデーヴァナーガリー文字に変換するとこうなります。

मनसश्चेन्द्रियाणां ह्यैकाग्र्यं परमं तपः।

तज्ज्यायः सर्वधर्मेभ्यः स धर्मः पर उच्यते॥

Unicode iast で転写するとこう。

manasaścendriyāṇā ca hyaikāgrya parama tapaḥ |
tajjyāyaḥ sarvadharmebhyaḥ sa dharmaḥ para ucyate ||
 
これ実はマハーバーラタの第12巻 242,4 の引用です。

英訳
The attainment of the one-pointedness of the mind and the senses is the best of austerities[tapas].
It is superior to all religious duties and all other austerities.


邦訳
「無価値な対象から心と五感を遠ざけることは、最高の苦行である。それはあらゆる務めの中で最高のものである。」山際素男訳『マハーバーラタ』第7巻91ページ

 さて、これで欠文を補うことができたと、ほっと一息入れたとき、気になって岩波文庫本を見ると17章は88詩節しかありません。24詩節を見るとやはり欠落しています。ひょっとしてこれは校訂作業の中で、意図的に削除されたのでしょうか。今日届いた英訳本を見てみても何のコメントも見つけられませんでした。

2011年9月23日金曜日

アシュターヴァクラ・ギーター PDF 情報追加

アシュターヴァクラ・ギーターのPDF情報追加です。

Ashtavakra Samhita translation and commentary by V.S. Iyer
http://wisdomsgoldenrod.org/publications/iyer/ashtavakra_samhita.pdf

Ashtavakra-samhita by Ananda Wood(明記されていないが多分)
http://sites.google.com/site/advaitaenquiry/Ashtavakra.pdf
サンスクリット原文(ローマ字転写)、英訳、そしてサンスクリットの単語ごとに対応する英語が示されている。Swami Nityaswarupananda の Ashtavakra Samhita と同じような構成だが、サンスクリット表記がデーヴァナーガリーでなく、ローマ字転写 IAST (International Alphabet for Sanskrit Transliteration) になっているので、判読しやすい。

ついでにサンスクリット辞書のサイトのリンク集
Cologne Digital Sanskrit Dictionaries
http://www.sanskrit-lexicon.uni-koeln.de/

Apte Sanskrit Dictionary Search
http://www.aa.tufs.ac.jp/~tjun/sktdic/

V. S. Apte's The practical Sanskrit-English dictionary
http://dsal.uchicago.edu/dictionaries/apte/

Macdonell, Arthur Anthony. A practical Sanskrit dictionary
http://dsal.uchicago.edu/dictionaries/macdonell/

サンスクリット転写一覧表
http://www.alanlittle.org/projects/transliterator/translittable.html

2011年9月17日土曜日

アシュターヴァクラ・ギーター


シャンカラの『ウパデーシャ・サーハスリー』とか、ずいぶん以前に読んで、思想的には面白いと思ったのですが、どうも腑に落ちませんでした。どうにも凡人には手の届かない感じです。
ところがダグラス・ハーディングに出会って、不二一元論への手掛かりを得た感じがします。
そこで視野に入ってきたのが「アシュターヴァクラ・ギーター」です。
とりあえずネット上で資料を収集するところから始めました。

Ashtavakra Gita
Sanskrit text with English Transliteration & Translation by John Richards
http://www.scribd.com/doc/54192897/
デーヴァナーガリー文字とアルファベット文字による転写とジョン・リチャーズの英訳を一つにしたもの。

Ashtavakra Gita, Translated by Bart Marshall
http://www.messagefrommasters.com/Ebooks/Spiritual-Books/Ashtavakra-Gita.pdf
http://www.scribd.com/doc/50569117/
バート・マーシャルによる英訳

The Heart of Awareness, a translation of The Ashtavakra Gita by Thomas Byrom
http://bhagavan-ramana.org/ashtavakragita2.html
http://www.4shared.com/document/S-U6ncWF/Ashtavakra_Gita__The_Heart_of_.html
トーマス・バイロンによる英訳、散文的でなく、詩になっているのが素晴らしい(らしい)。
これは邦訳が出ている。邦訳はいま売り切れて古書でしか手に入らないようですが、原書のほうを購入しました。原書の方には簡単な註がついています。邦訳の方は手に入れていないのでわかりません。
http://www.amazon.co.jp/dp/4903821439/

Ashtavakara Samhita by Swami Nityaswarupananda
http://www.4shared.com/document/5RPda3yN/Ashtavakra_Samhita_-_Swami_Nit.html
http://www.scribd.com/doc/2673274/
Advaita Ashrama から出ているので、ラーマクリシュナ、ヴィヴェーカーナンダの系列でしょうか。サンスクリットの言葉に詳細に註がついているのですが、デーヴァナーガリー文字でアルファベットを用いた転写でないところがちょっと辛いです。

Ashtavakra Samhita Study Notes of Swami Shraddhananda
www.vedanta.org/reading/monthly/articles/2005/10.ashtavakra.pdf
www.cincinnatitemple.com/articles/1ashtavakra.pdf
Swami Shraddhananda がアシュターヴァクラ・ギーターの本の余白に書き込んだコメントをまとめたもの。アシュターヴァクラ・ギーターの本文は含まれません。

Ashtavakra Gita / अष्टावक्र गीता
http://sites.google.com/site/vedicscripturesinc/home/ashtavakragita
サンスクリット、ヒンディー(たぶん)、英訳進行中。現在15章まで完了。

Ashtavakra Mahageeta, Vol 1 [Enlightenment: The Only Revolution, Discourses on the great mystic Ashtavakra.]
http://www.messagefrommasters.com/Beloved_Osho_Books/Indian_Mystics/The_Mahageeta_Volume_1.pdf
http://ebookbrowse.com/the-mahageeta-vol-1-pdf-d106965156
OSHOによる注解書、アシュターヴァクラ・ギーター本文は部分的に取り上げられており、全文を見ることはできません。
邦訳は『エンライトメント―ただひとつの変革 神秘家・アシュタヴァクラ』
http://www.amazon.co.jp/dp/4881781804/

このほかに以下のものがあります。
Duet of One: The Ashtavakra Gita Dialogue
http://www.amazon.co.jp/dp/0929448111/
Ramesh S. Balsekar による注解書、注文中です。