FIP の Principles of Miracles の19は Urtext では20になります。
FIP 版で引用すると、
Miracles make minds one in God.
They depend on cooperation because the Sonship is the sum of all that God created.
奇跡は[ばらばらの]精神を神に於いて一つにする。
それらは協働に依存する、Sonship は神の創造したすべての人の総和であるのだから。
ふたりの訳者に当たってみると両者ともThey が奇跡を受けているように訳していました。これだけ見ると妥当な訳に見えます。しかしUrtext を見るとどうでしょう。
最初に与えられた形はこうなっていました。
20. Miracles are an industrial necessity. Industry depends on cooperation, and cooperation depends on miracles. (see page 8)
奇跡は産業にとって必要とされるものである。産業は協働に依存し、協働は奇跡に依存する。
「8頁を見よ」というのは、そこでこの原理の訂正の指示がなされているからです。それは後で見るとして、ここだけ見ても「それら」を奇跡と読むのはどうかと思わせる証拠があります。というのも「協働は奇跡に依存する」と真逆のことが記されているからです。これを見て疑問が生じました。奇跡が協働に依存するなら、人間達の協働がなければ奇跡は働くことが出来ないということになります。それが正しいとすると人間の持つ役割というのが非常に重要だという話になると思うのですが、反面奇跡に足かせをすることにもなります。
この奇跡の原理の各版の違いを見比べて考察した結果を先に述べてしまうと、訂正の指示に正しく従わなかったために意味の取りにくい文章になっているのではないかと、今のところそう感じています。
興味のある方はUrtext と HLC を比較したレポートをご覧になって下さい。なお奇跡の原理19の三番目の文に「それ故」therefore が入っていて、いかにも論理的な流れがあるように見えますが、Urtext で見ると順番が逆になっていて、今考察している文の直前に置かれています。HLC や FIP に於いて therefore でつながれている意味も私には不明で人間的な恣意性を感じます。therefore の挿入と順番の入れ替えは HLC で生じFIP はそれを受け継ぎました。
つづく
一つ訂正があります。奇跡の原理19の三番目の文ですがヘレンのノートを見てみると順番は二番目の文のあとになっていました。ただしその間に十数頁の記述があります。奇跡の超時間性を表すこの文がtherefore で先の文に繋がらないという考えは変わりません。もともとこれは奇跡の原理として独立した項目でした。
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