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2012年2月11日土曜日

Vijñāna Bhairava Tantra の翻訳書

Amazon.com の書評を読んでいて、 “Vijñāna Bhairava” がOshoの“The Book of Secrets”で解説されていたヴィギャン・ヴァイラヴ・タントラの原典だと気づきました。

Jaideva Singh の英訳が Scribd に在ったので、ちょっとOsho の邦訳と比べてみたら、瞑想法についての記述に入る前段のシヴァとパールヴァティーとの対話からして抜粋訳になっていて、112の瞑想法の順番も原典とは異なっていました。

Osho のテキストはPaul Repsの英訳に基づいていています。それを瞑想のテーマごとに分類して注解しているのでスートラの順番が変わっていたのです。
Paul Reps はSwami Lakshmanjoo から Vijñāna Bhairava Tantrra の手ほどきを受け、Swami Lakshmanjoo の英訳を11回以上書き換えてこの英訳になったと言っています。 最初1955年春 "Gentry magazine" に掲載され、1957年に“Zen Flesh, Zen Bones. A Collection of Zen and Pre-Zen Writings”の中に収録されました。彼は俳句や禅の影響を受けた詩人でもあるので、その訳文は簡潔で自由訳・超訳になっています。

オリジナルのテキストを見るのにはJaideva Singh の注解でで十分だと思いましたが、Swami Lakshmanjoo の解説の評価が高く、また Jaideva Singh の師に当たるようなので、 “Vijñāna Bhairava, The Manual for Self-Realization” を購入してみました。もとは Lakshmanjoo の講話CD7枚とその Transcript の本一冊のセットでしたが、私が手に入れたのは第三版のmp3CD1枚(AudioCD7枚分の講話が入っています)が付録になっているものです。
おなじ録音からテキスト起こしされた “Vijñāna Bhairava,The Practice of Centring Awareness” という本もありますが、こちらの方はSwami Lakshmanjoo の確認を得ずに出版されたもので間違いも多いようです。

Osho の注解ので用いられているテキストとポール・レップスの英訳ではtheがaになっているとか脱落しているとか、一部微妙な違いがあります。少し例をあげてみましょう。上がポール・レップス下がOshoになります。

Verse 58
33. Gracious one, play the universe is an empty shell wherein your mind frolics infinitely.
110. Gracious one, play. The universe is an empty shell wherein your mind frolics infinitely.

Verse 93
68. Pierce some part of your nectar-filled form with a pin, and gently enter the piercing.
21. Pierce some part of your nectar-filled form with a pin, and gently enter the piercing and attain to the inner purity.
Osho は原典をほとんど見てないようですが、下の例は微妙ですね。Paul Reps に別の版があったのか、原典を見たのかもしれません。

他の訳についても紹介しておきましょう。
Swami Saraswati Satyasangananda – Sri Vijnana Bhairava Tantra: The Ascent.
著者はカシミール・シヴァ派の流れに属していないので、呼吸の時意識するポイントなど解釈がLakshmanjooやJaideva Singhと違う部分があります。
 

Bettina Baeumer - Vijnana Bhairava - Das goettliche Bewusstsein
独訳です。原典に忠実な訳に見えます。

Vijnana Bhairava Tantra (Vigyan Bhairav Tantra) のリソース

Osho の注解をオリジナルのテキストと比較しようとしたら、対応するはずのテキストが見つけられず、困りました。そうしているうちに見つけたリソースのまとめです。

後で分かったことですが、Osho の注解のテキストはポール・レップスの英訳に基づいており、しかも順番を瞑想のテーマごとに並べ替えていたので Osho のテキストのナンバリングに基づいてサンスクリット・テキストを見ると全く別のところを参照していることになるのです。

しかもポール・レップスは禅の影響を受けたこともあって、その訳は今はやりの言葉でいうと自由訳・超訳になっているので、それに基づいたOshoの注解はまったく原典の意図を離れたものになっていることがあり要注意です。

Vijnana Bhairava Tantra の理解には、カシミール・シヴァ派の伝統を受け継ぐ Lakshmanjoo の注解書と彼に手ほどきを受けた Jaideva Singh の注解書を基本にするのが良いと思います。

最初にこの書を英訳したポール・レップスについて書いてあります。
http://www.geocities.jp/oshotara/vbt_introduction.htm
http://www.paulreps.com/Biography.aspx

Zen Flesh, Zen Bones
ポール・レップスの著書、この中の“Centering”の章が Vijnana Bhairava Tantra でした。
Lakshmanjoo から教えを受けたことが書かれています。
http://books.google.co.jp/books?id=m9CCTo258n8C

Centering
http://lukestorms.com/2010/10/19/centering-practices/
http://www.spiritual-learning.com/centering-reps.html
上のリンクは Centering のポール・レップス自身による紹介部分も含まれているので先に挙げたのですが、すこし誤植が多いようです。次のリンクのほうが誤植が少ないです。
http://www.friakademi.se/downloads/FreeAK/paul%20reps%206.htm
http://o-meditation.com/2010/12/02/shivas-112-meditation-techniques/

Vigyan Bhairav TantraOshoの注解書のPDF
最初講話を16づつまとめて一巻とし”The Book of the Secrets Volume 1 - 5” として出版されましたが、のちに40づつ全二巻の“Vigyan Bhairav Tantra Volumes 1 and 2”として出版されたものに基づいたものです。.
Osho の注解に用いられているテキストはポール・レップスの英訳に基づいています。
ただし瞑想のテーマごとにまとめて並べ替えているので、オリジナルのサンスクリットテキストと対照しようとするとかなり手間取ります。
http://www.messagefrommasters.com/Beloved_Osho_Books/Tantra/Vigyan_Bhairav_Tantra_Volume_1.pdf
http://www.messagefrommasters.com/Beloved_Osho_Books/Tantra/Vigyan_Bhairav_Tantra_Volume_2.pdf

Oshoの解説部分の抜粋
http://www.oshoworld.com/tantra_medi/index.asp

Jaideva Singh の英訳・注解
Swami Lakshmanjoo の弟子による注解です。
http://www.scribd.com/doc/72481270/Vijnana-Bhairava

Vijnana Bhairava Tantra - Sanskrit Text with English Translation
Swami Satyasangananda Saraswati の“Sri Vijnana Bhairava Tantra - The Ascent” からサンスクリット・テキストと英訳部分を抽出してPDFにしたもの。
http://www.scribd.com/doc/24802550/vijnana-bhairava-tantra-rajendra
http://cleaves.zapto.org/news/attachments/oct2011/vijnana_bhairava_tantra.pdf

L. SILBURN の仏訳
http://www.tantra.fr/texte/VBT.htm

Daniel Odier の仏訳
http://www.danielodier.com/FRENCH/textes/vijnana_f.html
仏訳からの英訳
http://www.danielodier.com/ENGLISH/Texts/vijnana_e.html
http://www.scribd.com/Soham%20Hamsah/d/10050600-Vijnana-Bhairava-English-Translation

Lorin Roche - THE RADIANCE SUTRAS
ここに公開してあるのは32詩節まで、訳文に解釈を入れた自由訳のようです。
http://www.lorinroche.com/radiancesutras/radiance/sutras1992.html
http://www.lotustantra.com/Vijanabhairava%20Tantra2.pdf

ヴィギャン・バイラーヴ・タントラ 全文対訳
Osho の注解書の順序でポール・レップスの訳を対訳してあります。一部誤植があり訳文も誤植を反映しているところがあります。
http://www.geocities.jp/oshotara/vbt.htm


2011年12月3日土曜日

ダグラス・ハーディングとvijñāna bhairava tantram


最近カシュミール・シャイヴィズム[カシミール・シヴァ派]に興味を持って調べています。すると昔買ったOshoの『タントラ秘法の書』で解説しているヴィギャン・バイラヴ・タントラ[vijñāna bhairava  tantram]がまさにカシュミール・シャイヴィズムの重要な文献であることに気付きました。

なにかいい解説書がないか調べていると、Swami Shankarananda, “Consciousness is Everything”の抜粋が目に入りました。 見てみるとダグラス・ハーディングについて何か書いています。

「もしダグラス・ハーディングがシヴァ派のテキストのVijnanabhairavaを覗いていたなら、瞑想法62を見つけたことだろう」と書いてあります。スートラ85にそれはありました。
लीनं मूर्ध्नि वियत्सर्वं भैरवत्वेन भावयेत्।
तत्सर्वं भैरवाकारतेजस्तत्त्वं समाविशेत्॥ ८५॥
līnaṁ mūrdhni viyat sarva bhairavatvena bhāvayet |
tat sarva bhairavākāratejastattva samāviśet || 85 ||

英訳はJaideva Singh の訳文が引用されていました。

The yogi should contemplate the entire open space (or sky) under the form of the essence of Bhairava and as dissolved in his head. Then the entire universe will be absorbed in the light of Bhairava.

 「
開けた空間(または空[ソラ])は純粋意識の本質の顕現である。それを自らの頭の中に溶け込ませて観照しなさい。全宇宙は純粋意識の光の中に吸収されるだろう」

これはまさにダグラス・ハーディングの方法そのものですね。