2010年4月23日金曜日

a のゼロ乗が1なのは… 1

デカルトの『精神指導の規則』(Regulae ad directionem ingenii)を読んでいて、なぜa0=1 になるのかスッキリと[デカルト的に言うと“明晰かつ判明に”]理解できましたので、ちょっと書いてみようと思います。もともと、既知数を a、b、c、未知数を x、y、z 等で表し、その量を表す数字をa、b、c 等の前に付け、累乗の数を後ろに付けるというのはデカルトの発案です。(ただし最初は未知数は大文字でA、B、C 等と書かれました。)

一般的に数学書を見ると、ゼロ乗と考えるから理解できなくなる、指数法則から理解するように書いてあります。でもそこで、何かごまかされたような気がしてしまうのですね。まず『関数の話 上巻』大村平著の説明を見てみましょう。

最初に指数法則が解説してあります。例と一緒に示すとこんな感じです。
an×am=an+m 
a2×a3=a×a×a×a×a=a5

(an)m=an×m
(a2)3=(a×a)3=(a×a)(a×a)(a×a)=a6

a-n=1/an
a-1=1/a  a-2=1/a2

am/an=am-n
a4/a2=a×a×a×a/a×a=a×a=a2

このあと分数乗の意味を解説し、最後にゼロ乗が何を意味するのか解説してあるのですが、それを見てみましょう。

「 すべての値はゼロ乗すると1になるというのですから、ずいぶん強引な約束ごとのように思えますが、つぎのように考えると、これも理にかなった約束であることがわかります。前節の知識を利用すると
a-n×an=a-n+n=a0
ですし、いっぽう
a-n×an=an/an=1
ですから、この両方を較べてみると、なるほど
a0=1
に違いありません。」

たしかにそうですけど、でもそれではゼロ乗ってなんなのと文系のわたしは思ってしまうわけです。 

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