続けて「規則第15」を見てみましょう。
「それで特に注意しておかねばならない、根、平方、立方、等は、連比をなす量にほかならず、かつそれらには常に、すでに述べた、かの仮に定めた単位(unitas)が、前置されていると仮定されるのである。そしてこの単位に、比例の第一項は直接的にかつただ一つの関係によって、結ばれる。第二項は、第一項を介し、従って二つの関係によって。第三項は、第一項と第二項とを介し、三つの関係によって、等。それゆえ、代数において根といわれる量を、今後われわれは比例第一項(prima proportionalis)と呼ぶであろう。そして平方といわれる量を比例第二項(secunda proportionalis)と呼び、その他も同様に呼ぶであろう。」
デカルトは等比数列の比例第一項には仮に定めた単位が前置されているとしています。比は関係ですから関係する相手がいなければ成り立ちません。それが単位であり1なのです。単位に対する比を持つ数で最初に現れるものを一般化して表記すれば a [根]になります。単位に一つの関係で結ばれている数です。指数関数では底と呼ばれるので、この関数における根源的な存在に見えますが、すでにここに最初の関係が潜んでいたのでした。単位を定めなければ2とか3とかいってもなんの二倍であったり、三倍であるのか意味が成立しないのです。デカルトでは根が平方や立方と切り離しても成立するのにも驚きました。私は根を平方や立方から遡って導き出される数という印象が強かったので、単位に対する関係において根が成立するということに気がつきませんでした。あなたも a1 が何に何を一回掛けているのか、もう明晰かつ判明に理解することができるはずです。
『数学ガール フェルマーの最終定理』で a1 はこう言われていました。
「もっとも、指数が1のときは実質的に掛け算していないけれど、まあ分かるよね」 p.269
初めてこれを見たときと今では印象が全く変わっていることでしょう。明晰かつ判明に、実質的に掛け算されていることが分かりますね。a1 =1×a なのです。
それでは a0 はどうなるでしょう。単位に対して一つも比を持った関係がないのですから、単位が残るだけです。こうして a0 は単位に a を一度も掛け算しないこと、ゼロ乗は単位のみを示すことになり、従っていかなる数でもゼロ乗は 1 となるのです。指数法則を成り立たせるために a0 を 1 にするしかないというよりも、直感的に理解できるはずです。
こう考えると理解不能の00も 1 にゼロを一回も掛け算しないと考えれば 1 になります。0を底とした指数関数でゼロのマイナス乗を考えると、どうしても0の除算が入り込むので、そちらの方に矛盾が生ずるように思います。まあ文系なので変なことを言っているかも知れませんが、大目に見て、笑っていただけるとうれしいです。
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