2009年10月20日火曜日

ヘレンの速記ノートから分かること

ACIM の各バージョンを比較しているといろんな発見があります。Workbook に打ち込んで内面的な発見があればいいのですが、どうも気がつくのは些細なことばかりです。

ヘレンの速記ノートとUrtext を比べていると、強調点が不注意によって消えたり、強調する場所が変わっていることがあるのに気がつきます。特にノートからUrtext の段階で誤りが生じた場合は「親亀こけたら皆こけた」でミスがそのまま後のヴァージョンに引き継がれてどんどん分からなくなっていくようです。

T 1 B 9. Miracles are a kind of exchange. Like all expressions of love, which are ALWAYS miraculous in the true sense, the exchange reverses the physical laws.

T 1 B 10. A miracle is a reversal of the physical order because it brings more love to the giver and the receiver. 「奇跡は物理的秩序をひっくり返す。なぜならそれは与える者受取る者により大きな愛をもたらすからである。」

Miracles are a kind of exchange. Like all expressions of love, which are ALWAYS miraculous in the true sense, the exchange reverses the physical laws. They bring MORE love both to the giver AND the receiver. (HLC)

T-1.I.9. Miracles are a kind of exchange. 2 Like all expressions of love, which are always miraculous in the true sense, the exchange reverses the physical laws. 3 They bring more love both to the giver and the receiver. (FIP2nd)

T 1 B 9 と T 1 B 10 の二つを一つにしてHLC の形になり、一つの強調点を失ってFIP版になっています。速記ノートでは強調はアンダーラインで示されており、Urtext ではそれを大文字でタイピングして写しています。小文字のand の下のアンダーラインは手書きで入っており、おそらく読み返してチェックしたときに見落とした強調を書き加えられたものでしょう。ノートと比較してみると見落とされてそのまま失われてしまった強調も結構あります。

HLC では同じく大文字で強調を示しており、FIP ではイタリック体で示しています。ここで注目していただきたいのはAND の強調なのですがどういう意味なのか分かるでしょうか?何かすっきりしない感じがしないでしょうか?それではノートを見てみましょう。T 1 B 9. は強調点がアンダーラインで示されている以外Urtext と変わりません。

T 1 B 10. A miracle is a reversal of the physical order because it brings more love to the giver and the receiver.

ノートでは強調点が giver になっています。これなら分かります。物理的な法則では与える者は与えることによって失います。しかし愛の表現である奇跡は与えることによって失われるのではなく増し加えられるのです。逆さまというのはここですね。強調点が両者の関係にあるなら、与えた方が得て受け取った方が失うことにならないと、法則がひっくり返ったことになりません。そう考えるとHLCはさらに both を付け加えることにより強調の焦点を分からなくしています。AND に強調があるのでつい both を挿入してしまったのでしょう。

ACIM の単語の強調の仕方は正直言ってニュアンスがよく分からないことが多いですが、単なる写し間違えが原因の場合もあるようです。

最初 Doug Thompson はノートのアンダーラインの強調をそのまま小文字にアンダーラインで転写していましたが、後にUrtext と同じように大文字で転写したテキストで発表するようになりました。どこか校訂の過程で変わったことがないか比較していたら、一人称の I のアンダーラインの強調が見えなくなっているところがありました。

ノートで you と I が強調されている文章があります。最初の転写では両者ともアンダーラインがあるので強調されているのが分かるのですが、強調を大文字にすると you は YOU で分かりますが I は I のままでアンダーラインが消えるため強調されているのかいないのか、見分けがつかなくなってしまったのでした。これでは せっかくのe-text が出来ても確認のためにまた速記ノートを見なければなりません。強調一つとっても、そのやり方を変えるだけで失われるものがあるということでした。

0 件のコメント: