ACIM のワークブックをやると最初はかなり自由にできるのですが、途中からかなり時間の間隔などの取り決めがされて、負担がかかる訓練になってきます。
その始まりはLesson20で "This is our first attempt to introduce structure." とあります。
それで、"structure" を日本語にすると何になるだろうと考えるとなかなかいい訳語がないんですね。用例と田中訳を見てみましょう。
W 20 L 2. This is our first attempt to introduce structure. Do not misconstrue it as an effort to exert force or pressure. You want salvation. You want to be happy. You want peace. You do not have them now because your minds are totally undisciplined, and you cannot distinguish between joy and sorrow, pleasure and pain, love and fear. You are now learning how to tell them apart. And great indeed will be your reward.
「これが、組織立ったやり方を導入する最初の試みである。それを、無理強いしたり圧力をかけたりしようとしているのだと誤解しないように。あなたは救いを望んでいる。 幸せになりたいと望んでいる。平安を望んでいる。今のところ、そうしたことは自分のものとはいえない、なぜならあなたの心は全く訓練されていないので、喜びと悲しみとか、楽しいことと苦しいこととか、愛と恐れとか、こうしたことの区別ができないからである。どうすればその違いが分かるか、いまからそれを習うところだ。そしてあなたが素晴らしいほうびを手に入れることは確実である。」
W 95 L 6. Structure, then, is necessary for you at this time, planned to include frequent reminders of your goal, and regular attempts to reach it.
「とすれば、この時点であなたに必要なのは、自分の目標をたびたび思いだし、定期的にそれに達しようと試みることを組織立てて計画すること。」
W 95 L 7. Using the first five minutes of the hour will be particularly helpful, since it imposes firmer structure.
「一時間の 最初の五分間を使うことは特に助けになる、そうすることでより確実に時計の長針が十二を指すたびにするだろうから。」
なかなか上手に訳してありますが、これを見ると structure は組織だったエクササイズのやり方であると同時に、それによって身につくものという側面(W95L7の用例より)もあるようです。それでその自分に身につく方の structure に良い訳語はないものかと思うのですがなかなか思いつきません。英英でみると system とか framework というのが近いでしょうか。ソフトを開発している知人は「構造体」と答えてくれましたがどうでしょう。何かしつけによって身につくもののような言葉が欲しいのですが…
ヘレンのノートを見ていたらACIMの口述が始まった最初の日にこのstructure が出てきて驚きました。
Please read these three points ((with corollaries)) as often as you can today, because there may be a quiz this evening. This is merely to introduce structure, if it is needed. It is NOT to frighten you.
「この三つの点を((推論しながら))今日できるだけ読みなさい。というのも今晩小テストがあるだろうから。必要であるなら、これは単に structure の導入にすぎない。あなたを脅しているのでは無い。」
この三つの点というのは奇跡の原理の1~3のことです。小テストというのはユーモアでしょうか。
Longman Advanced American Dictionary の用例を見ているとこれなんかニュアンスが良く出ていると思います。
4 [C, U] the condition of having ideas, activities etc. organized and planned ◇As I was growing up, Mom gave me structure and sense of responsibility. 成長するにしたがってママは私に structure と責任感を与えてくれた。
インターネットで検索しているとまさにここのところを解説しているところがありました。大学の先生が難しいというのだから私も安心して難しいと言うことにしましょう。下に引用しておきます。
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http://www.asahi.com/english/weekly/1111/05.html
Q&A 英語の質問箱
東洋大学教授 赤須薫
Q:5月27日号のAnnie's Mailbox「育児ストレス状態の母親」の第2段落、下から2行目にChildren need structure and stability. という文がありますが、この中のstructureとはどういう意味ですか。
A:Longman Advanced American Dictionary(日本語のタイトルは『ロングマン現代アメリカ英語辞典』)という辞書を見ますと、structureという見出し語の4番目の語義に次のような定義が出ています:the condition of having ideas, activities etc. organized and planned. これが一番近いのではないかと思います。この語義に出てくる用例はAs I was growing up, Mom gave me structure and a sense of responsibility.となっています。この用例のstructureは、問題の文に登場するstructureと同じ意味だと思います。
意味としては、「礼儀作法・常識などが身について、それらがうまく働くようになっている状態」を指していると思います。考えてみますと、ここでのstructureに当たる適当な日本語をうまく見つけるのが結構難しいような気がしました。
ひとつの候補として、「しつけ」というのがあるかもしれません。ただし、ひとつ注意したいのは、「しつけること」を指すのではなく、「しつけなどによって、結果として生じる(望ましい)状態」を指しているということです。「あの子はしつけがなっていない」などと日本語で言いますが、そのような場合に使われる「しつけ」に大体相当するような気がします。
ちなみに、Children need structure. という表現は「子育て」およびその関連の本などによく登場する表現です。
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