2010年8月21日土曜日

ACIM Text の注解書の紹介

The Illuminated Text: Commentaries for Deepening Your Connection with a Course in Miracles

全7巻の予定で、現在3巻まで出ています。以前に奇跡の原理19が編集の過程でオリジナルの意義が壊されているのではないかと書きましたが、このコメンタリーにも同様の指摘がしてあったので、そう感じていたのは自分だけでなかったのだなとほっとしました。

アマゾンに書いた書評のコピーです。

A Course in Miracles の Text の注釈書で、現在第三巻まで発行されており、全7巻の予定。
これはその第一巻目でTextの第一章から四章まで扱われている。
FIP版のテキストに基づいているが、Urtextの情報をFIP版テキストに組み込んでいるのが特徴的である。
Urtextではキャピタリゼーション(単語を大文字表記で強調すること)が用いられているが、
HLC版、FIP版と編集の手が入る過程でかなりの部分が失われている。
そのUrtextの強調部分をFIP版テキストにアンダーラインを施すことで示しているので、
オリジナルのTextの意図を判別しやすくなっている。
なおUrtextの強調部分はヘレンの速記ノートの強調部分[アンダーラインで示されている]を
かなり忠実に再現しているので、編集者の意図がほとんど介入していないと考えられる。
FIPとUrtextで語句が変更されている場合はかぎ括弧にいれて原型を示している。
たとえばFIPでmindとある言葉がUrtextでもともとwillであったなどということがよく見られるが、
編集によって変えられた部分がUrtextを参照せずに一目で分かるので大変便利である。
またUrtextを参照していることによって、FIP版だけ見ていると気がつかない、
オリジナルの意味を理解することができるようにできている。
その一例を挙げると奇跡の原理Principals of Miracles の19がFIP版ではこうなっている。
Miracles make minds one in God.
They depend on cooperation because the Sonship is the sum of all that God created.
HLCもほぼ同じ。
Miracles make minds one in God.
They depend on cooperation, because the Sonship is the sum of all the Souls God created.
実はこの箇所はUrtextからHLCへの編集過程でオリジナルの意図がまったく改変されてしまったところで
FIPもHLCの過ちをそのまま受け継いでいるところである。それではUrtextを見るとこうである。
Miracles are an industrial necessity.
Industry depends on cooperation, and cooperation depends on miracles.
最初に与えられたのはこの形であった。Urtextの後の箇所でさらにこの文の前に
“Miracle makes minds one in God.”を付け加えるように指示されているのだが
よく見ると意味がまったく逆になっている箇所があることに気がつく。
[さらにUrtextではこのGodをChristに変えるように指示されているが、この注解書にも
そのことには触れられていない。]
FIP、HLCでは“They[Miracles] depend on cooperation.”だが、
Urtext では“…and cooperation depends on miracles.”
FIP版やHLCだけ見ていると、なるほどそういうものなのかとつい思ってしまうが、
Urtextの文章を見ると、愛[実在]の表現・現れである奇跡がすべての協力・協同の根拠であるのに、
FIPのようにその逆ではまったく意味を成さないことに気づくことができるだろう。
Urtextにはヘレンの書き取った文章を修正する指示も記されているが、
この箇所はその指示のない文章であって、明らかに編集者のミスだと思われる。
Urtextを参照することに意義あることを理解していただけると思う。