2011年2月16日水曜日

ACIM Urtext HLC Compare Report 更新

Urtext HLC Chapter 8 を更新しました。

インフォ追加と、細かい修正です。今回 Urtext の脱落を補ったところはカギ括弧で示しました。また Urtext と HLC で違いがあるところで、問題のある方をフォントを赤にして自分の判断を一部示しています。

今回英語の勉強になったところ

Urtext 8J1
This could not possibly have occurred unless the mind was already profoundly split, making it possible for IT to be afraid of what it really is.

HLC 8J1
This could not possibly have occurred unless the mind were ALREADY profoundly split, making it possible for the mind to be AFRAID of what it really is.

最初の This は Fear of the Will of God を指しています。Urtext では was のところがもともと were とタイプされていて、それを横線で消して上に was と手書きされています。HLC、FIP は were のままです。

仮定法過去で were と was でどう違うのか調べると、If I were you、as it were などの決まり文句以外の場合、一・三人称単数主語の場合((略式))では直説法の was を用いるのが普通だそうです。なので Urtext の修正はくだけた表現になっているけど、無理に修正する必要はなかったということになりそうです。それで Urtext の was のフォントを赤にしています。

帰結節の時制で見ると仮定法過去完了ですが、条件節と時制が一致していません。けれど、これは問題ないようです。条件が現在(過去もそうであったが今も変わらずそうであるという変わらない事実に反することを示す)で、帰結が過去のことを示しているとこうなります。

『現代英文法講義』安藤貞雄 p.377 の例文
If it were not for immense number of the eggs, the herring would long ago have been quite extinct.
もしも膨大な数の卵がなかったならば、ニシンはとうの昔に絶滅していただろう。
『実践ロイヤル英文法』p.197の例文
If I were man, I would have fallen in love with her, too. もし私が男なら、私もまた彼女に恋してしまったことでしょう。(「私が男でない」という事実は過去も現在も変わっていないので条件節は仮定法過去)

もう一つ気になった unless を辞書で引くと、「仮定法と共に用いられるのは((まれ))」と出ています。『英文法解説(改訂三版)』p.402-403 では「unless は事実に反対の仮定の条件を示す仮定法には使えないが、仮定法を含む文の後ろにつけ加えることはできる」としていますが、Graver や Thomson が依然として仮定法で unless=if not としていることを訝しんでいます。

では『実践ロイヤル英文法』で unless を仮定法で使うことができる((まれ))な場合を見てみると、「仮定法構文で、ある条件が非現実、ないしは実現の可能性の極めて乏しいこととして示されている場合でも、話者や聞き手の頭の中で、その条件の中に多少なりとも実現の可能性があると意識されれば、unless を使うことができる」(p.249)とありました。

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