2010年7月25日日曜日

ACIM HLC Annotated Edition 正誤表追加

27G3
It tells you but the names you gave it to use,
It tells you but the names you gave to it to use,

27I12
Yet you need but learn you choose but NOT to listen, NOT to see.
Yet you need but learn you chose but NOT to listen, NOT to see.

HLC の E-TEXT 化の初期の段階で紛れ込んだらしく、Original Edition も Blue Sparkly もこのエラーを持っています。

2010年7月13日火曜日

ACIM Urtext-HLC Ch.11-20 Compare Report

残っていた校正読みがようやくChapter 20 まで済みました。ほとんどはコンマの脱落、キャピタリゼーション、文の区切りの修正です。ただしオリジナル・テキストの忠実なE-Text化を目指しているので、かえって読みにくくなっていることもあります。語句の脱落などの修正ははごく一部です。

Doug Thompson 校訂の Hugh Lynn Cayce Manuscript Annotated Edition の正誤表もPDFにしました。
Errata of ACIM HLC Manuscript (ISBN 978-0-9816984-1-0)

あとは21章から31章までの校正読みを入れて、コンマの処理などもう一度最初のほうの章を見直したいとおもいます。最初のほうはオリジナルと句読点が違っても、そのままにしてあるところがたくさん残っているはずなので。

2010年4月24日土曜日

a のゼロ乗が1なのは… 4

続けて「規則第15」を見てみましょう。

「それで特に注意しておかねばならない、根、平方、立方、等は、連比をなす量にほかならず、かつそれらには常に、すでに述べた、かの仮に定めた単位(unitas)が、前置されていると仮定されるのである。そしてこの単位に、比例の第一項は直接的にかつただ一つの関係によって、結ばれる。第二項は、第一項を介し、従って二つの関係によって。第三項は、第一項と第二項とを介し、三つの関係によって、等。それゆえ、代数において根といわれる量を、今後われわれは比例第一項(prima proportionalis)と呼ぶであろう。そして平方といわれる量を比例第二項(secunda proportionalis)と呼び、その他も同様に呼ぶであろう。」

デカルトは等比数列の比例第一項には仮に定めた単位が前置されているとしています。比は関係ですから関係する相手がいなければ成り立ちません。それが単位であり1なのです。単位に対する比を持つ数で最初に現れるものを一般化して表記すれば a [根]になります。単位に一つの関係で結ばれている数です。指数関数では底と呼ばれるので、この関数における根源的な存在に見えますが、すでにここに最初の関係が潜んでいたのでした。単位を定めなければ2とか3とかいってもなんの二倍であったり、三倍であるのか意味が成立しないのです。デカルトでは根が平方や立方と切り離しても成立するのにも驚きました。私は根を平方や立方から遡って導き出される数という印象が強かったので、単位に対する関係において根が成立するということに気がつきませんでした。あなたも aが何に何を一回掛けているのか、もう明晰かつ判明に理解することができるはずです。

『数学ガール フェルマーの最終定理』で aはこう言われていました。

「もっとも、指数が1のときは実質的に掛け算していないけれど、まあ分かるよね」 p.269

初めてこれを見たときと今では印象が全く変わっていることでしょう。明晰かつ判明に、実質的に掛け算されていることが分かりますね。a=1×a なのです。

それでは aはどうなるでしょう。単位に対して一つも比を持った関係がないのですから、単位が残るだけです。こうして aは単位に a を一度も掛け算しないこと、ゼロ乗は単位のみを示すことになり、従っていかなる数でもゼロ乗は 1 となるのです。指数法則を成り立たせるために aを 1 にするしかないというよりも、直感的に理解できるはずです。

こう考えると理解不能の0も 1 にゼロを一回も掛け算しないと考えれば 1 になります。0を底とした指数関数でゼロのマイナス乗を考えると、どうしても0の除算が入り込むので、そちらの方に矛盾が生ずるように思います。まあ文系なので変なことを言っているかも知れませんが、大目に見て、笑っていただけるとうれしいです。

a のゼロ乗が1なのは… 3

さてオリジナルのデカルトまで戻ってみるとどんな光景が展開するでしょうか。まずは『精神指導の規則』(野田又夫訳)の「規則6」から見ていきましょう。

「例えば6という数が3の二倍であることを想い浮かべたとすれば、私は次に6の二倍すなわち12を求めるであろう。そしてまだ興味があればさらにこれの二倍すなわち12を、さらにその二倍すなわち48を、そして以下同様に、求めるであろう。そしてここから容易に、同じ比が3と6との間にも、6と12との間にも存すること、同じく12と24との間等々に存すること、従って数 3,6,12,24,48 等は連比をなすことを、演繹するであろう。実にこのことからして私は、たとえこれらすべてがきわめて明瞭でほとんど子供じみて見えるにもせよ、注意深い反省によって次のことを理解するのである、すなわち、事物の比例すなわち関係(proportio sive habitudo)について提起されうるあらゆる問題が、いかなる構造を内に蔵しているか,またいかなる順序に従ってこれらの問題は探求されるべきであるか、を。そしてこれだけのことの中に、純粋数学の核心全体が含まれているのである」

デカルトが純粋数学の核心全体が含まれているものとして注目したのが連比をなす数列で、等比数列です。ここに現れている数列は二倍々々になっていますから 3(2)で表すことができます。そしてこの比を関係とも呼んでいることに注目して下さい。次に2aのようなデカルト的表記法について述べているところを「規則16」で見てみましょう。

「それゆえ、困難の解決に当たって、一まとまりのことと見なすべき事柄はすべて、ただ一つの記号によって表示することにする。この記号は任意に作ってよい。けれども、分かり易いように、文字a,b,c 等を既知量を表すに用い、A,B,C 等を未知量を表すに用いよう。そしてしばしばそれらの量の数(multitudines)を示すために、1,2,3 等の数字を文字の前につけ、またそれらの量が含むと考うべき関係の数(numerus relationum)を示すためには、数字を文字の後へつけよう。そこで、例えば2aと書けば、これは、a なる文字によって示されかつ三つの関係を含むところの量の、二倍、というに同じである」

ここでも関係の数が出てきました。指数を関係の数ととらえるのは何を意味しているのでしょうか?

関係の数とは、連続的な順序において相継ぐ比と解すべきである。これらの比を、人々は、通常の代数においては、多くの次元と図形とによって表わそうと努め、その第一を根(radix)と呼び、第二を平方(quadratum)、第三を立方(cubus)、第四を二重平方[平方の二乗](biquadratum)などと呼ぶ。実をいうと私自身も、かかる名称に長い間欺かれていた。なぜなら、線と正方形とについでは、立方体やその他これらに似せて考え出された図形ほど明晰に、私の想像に示されうるものはない、と思われたし、また実際これらを用いて少なからざる困難を解決もしたからである。」

ここで第一、第二、第三…といわれているのが関係の数を示しているのですが、ここではそれが従来、根・平方・立方・二重平方などと幾何学的表象を伴った名で呼ばれていることに注意しましょう。アリストテレスの権威のもとでは同じ数学であっても、幾何学と代数は全く別の対象を扱うものと受け取られていましたが、根・平方・立方などと言って幾何学的な学問領域に属するように見えても、それは代数で扱われる抽象的な、連続的な順序において相継ぐ比の数として理解することができ両者を普遍数学(Mathesis universalis)に包括できるとデカルトは気づいたのです。そしてこれからは、根・平方・立方などという言葉にに欺かれぬよう、これらの言葉を捨て去ろうと呼びかけます。

a のゼロ乗が1なのは… 2

次に『数学ガール フェルマーの最終定理』結城浩著での扱いを見てみましょう。

「2(2の3乗)という数式を見たとき、僕たちは<指数>--つまり2の右肩に乗っている3のこと--は2を<掛ける個数>を表していると習う。」
=2×2×2
「え、それ、まちがいなの?」ユーリが言った。
「いや、まちがいじゃない。完全に正しい。もしも指数が1,2,3,4,...ならば、指数は<掛ける個数>を表しているといってもいい。もっとも、指数が1のときは実質的に掛け算していないけれど、まあ分かるよね」
p.269

至極まともなことを言っているように見えますが、デカルトに戻って考えてみると、「もっとも、指数が1のときは実質的に掛け算していないけれど、まあ分かるよね」、ここに疑問符が付くことになります。それは後のお楽しみにしてゼロ乗の説明を見てみましょう。

「では指数が0のときはどうだろう。2の値は?」と僕は言った。
「それは0でしょ」とユーリが言った。
「え、1ですよね」とテトラちゃんが言った。
「テトラちゃんが正解。2は1に等しいんだ」
=1
「え、なんで?掛ける個数が0個だよ。なのに0じゃないわけ?」
「……テトラちゃんはなぜ2=1になるか説明できる?」
「え、あたし、ですか。……うまく説明できません。すみません」
「こんなふうに考えると納得がいく。2,2,2,2,2のように指数を1づつ減らしていくとしよう。そうすると、計算結果はどのように変化するかな」
p.270

さて計算してみると答えは、16,8,4,2と指数が一つ減るごとに2分の1になっています。すると2は2=2の2分の1、すなわち1となります。

「2の半分だから……あ、1になるのか。へえ。2=1なんだ」
「そうだね。だから、2=1と定めることにする。」
「えー、でもー、なんだか納得いかにゃい」
p.270

とうとうネコ言葉になってしまいました。それでこんなことを言われることになります。

「ほらほら、発想が<掛ける個数>にまた戻っているよ。あのね、指数を<掛ける個数>だと考えている限り、納得することはないんだよ。納得したとしても、なんだか無理矢理こじつけたような気分になる。」 p.271

このあと<掛ける個数>、<2を何回掛けたか>という発想から離れて、指数法則自体から、指数法則を守るように指数を定義するという方向に導かれます。

「たとえば2の値を調べよう。指数は指数法則を満たす。
×2=2s+t
だから、指数法則にs=1,t=0 を代入した等式も成り立たなくちゃ困る」
×2=21+0
「へえ……それで?」
「右辺の指数1+0=1 を計算すると、次の等式が成り立つ。
×2=2
指数法則から2の値はわかる。2=2 だ。よって次の等式を得る。
2×2=2
両辺を2で割れば、2の値が1 に定まるね」
p.273

しかしこれこそ「なんだか無理矢理こじつけたような気分になる」 のではないでしょうか? 著者は早く何個掛ける発想から卒業しないといけないぞというのですが、文系の私はついネコ言葉を使いたくなってしまいます。

2010年4月23日金曜日

a のゼロ乗が1なのは… 1

デカルトの『精神指導の規則』(Regulae ad directionem ingenii)を読んでいて、なぜa0=1 になるのかスッキリと[デカルト的に言うと“明晰かつ判明に”]理解できましたので、ちょっと書いてみようと思います。もともと、既知数を a、b、c、未知数を x、y、z 等で表し、その量を表す数字をa、b、c 等の前に付け、累乗の数を後ろに付けるというのはデカルトの発案です。(ただし最初は未知数は大文字でA、B、C 等と書かれました。)

一般的に数学書を見ると、ゼロ乗と考えるから理解できなくなる、指数法則から理解するように書いてあります。でもそこで、何かごまかされたような気がしてしまうのですね。まず『関数の話 上巻』大村平著の説明を見てみましょう。

最初に指数法則が解説してあります。例と一緒に示すとこんな感じです。
an×am=an+m 
a2×a3=a×a×a×a×a=a5

(an)m=an×m
(a2)3=(a×a)3=(a×a)(a×a)(a×a)=a6

a-n=1/an
a-1=1/a  a-2=1/a2

am/an=am-n
a4/a2=a×a×a×a/a×a=a×a=a2

このあと分数乗の意味を解説し、最後にゼロ乗が何を意味するのか解説してあるのですが、それを見てみましょう。

「 すべての値はゼロ乗すると1になるというのですから、ずいぶん強引な約束ごとのように思えますが、つぎのように考えると、これも理にかなった約束であることがわかります。前節の知識を利用すると
a-n×an=a-n+n=a0
ですし、いっぽう
a-n×an=an/an=1
ですから、この両方を較べてみると、なるほど
a0=1
に違いありません。」

たしかにそうですけど、でもそれではゼロ乗ってなんなのと文系のわたしは思ってしまうわけです。 

2010年4月20日火曜日

ACIM Annotated HLC の注の注、etc.

Doug Thompson の Annotated HLC の注を読んでいると疑問に感じるところがいくつかあったので問題となる注に注釈を付けてみました。ネイティブでも間違うときは間違うものですね。もちろん私の勘違いと言うこともあるでしょうから検討してみて下さい。ついでにWeb 上の Scholar's Toolbox の Urtext、FIP Text にある誤植等を付記しました。HTML 版のテキストはPDFなどより格段に扱いやすい(ワードにコピーしても崩れが少ない)ので、修正してもらえるとうれしい。

12 B 7.
“Bring to light” simply means “reveal.” “Bright to the light” means bring to God ...
Bright は Bring の誤植でしょう。

15 D 11.
The host of God needs not seek to find anything.
host は集合名詞で、複数を表しているので、動詞は need でなければならないというのですが...
“host” はたくさんの人や物をを意味することがあります。その場合お客をもてなす人という意味はないようです。このままにするか、意味的に複数でなければならないなら、hosts ... need にするかの二者択一でしょう。
ちなみに ノートも Urtext も host ... need で問題を持っています。

21 E 2.
your eyes will light on sin
light は alight の縮約形と考えて、それを示すために、’light という表記が選択されています。ところが light を縮約形と考えなくても alight の意味を持つようです。但しコンコーダンスのために光を意味する light と区別するために表記を変えるのであれば意味はあります。語源的に言うと、光るの light と 軽いの light は別の系統の言葉。ここは荷物を降ろして軽くなるとかの軽いの系統の方で、鳥が枝に降りるとか目をとめるの意味を持つ light です。以下辞書からの引用です。

Merriam-Webster’s Collegiate Dictionary
6light 6
1 : DISMOUNT
2 :
SETTLE, ALIGHT <a bird lit on the lawn>
3 : to fall unexpectedly ― usually used with on or upon
4 : to arrive by chance :
HAPPEN ― usually used with on or upon <lit upon a solution>

Random House Webster’s Unabridged Dictionary
light 3
/luyt/, v.i., lighted or lit, lighting.
1. to get down or descend, as from a horse or a vehicle.
2. to come to rest, as on a spot or thing; fall or settle upon; land: 
The bird lighted on the branch. My eye lighted on some friends in the crowd.
3. to come by chance; happen; hit (usually fol. by on or upon):
to light on a clue; to light on an ideal picnic spot.
...
[bef. 900; ME lihten, OE lihtan to make light, relieve of a weight; see LIGHT2]

26 F 8.
And how much can his own delusions about time and place affect a change in where he really is?
UHA:affect FC:effect
C では FIP と同じく effect に校訂していたのに、A で再び affect が正しいとされたところです。affect は影響を及ぼすで、effect は[変化を]もたらす、作り出すほうです。ここでは change を目的語としているので混同しやすいのですが、change に影響を与えるのではなく、change を生みだしているので、effect です。発音上は同じになるので聞き書きだと特に混同されやすい言葉です。語源から見ると affect はラテン語の ad-(=to)+ficio(する)で何かに働きかけること、effect はex-(=out)+ficioで外に働きかけること、作り出すことです。下は辞書に載っている一例ですが、他の辞書でも effect a change として挙げられています。

Longman Dictionary of Contemporary English
effect2 v [T]
formal to make something happen
Many parents lack confidence in their ability to effect change in their children's behaviour.
HINT sense 1
Do not confuse with the verb affect (=to have an effect on something).

31 E 6.
FIP は HLC の “sure and happy” を “thankful” に変えているというのですが、これは錯覚です。 センテンスの3と4を混同しています。ここには両者に違いはありません。
31.V.16.  3 ... but be you thankful that the learning of the world is loosening its grasp upon your mind.  4 And be you sure and happy in the confidence that it will go at last, ...

Scholar's Toolbox の Urtext にある脱落
10 B 12.
You cannot be happy unless you do what you will truly, and you CHANGE this, because it is immutable.
You cannot be happy unless you do what you will truly, and you cannot CHANGE this, because it is immutable.
UHF:cannot

Scholar's Toolbox の FIP Text にある誤植、脱落のリスト
3.IV.4. (HTML)
3 The term “rright-mindedness
3 The term “right-mindedness

3.V.7. (HTML)
5 Perception, on the other hand, is impossible without a belief in “more” and “rless.”
5 Perception, on the other hand, is impossible without a belief in “more” and “less.”

5.VI.10. (HTML)
8 His verdict will always be “thine is the Kingdom,because
8 His verdict will always be “thine is the Kingdom,because

6.I.6. (HTML and PDF)
4 Rather , teach your own perfect immunity, which is the truth in you, and realize that it cannot beassailed.
4 Rather , teach your own perfect immunity, which is the truth in you, and realize that it cannot be assailed.

21.I.6. (HTML and PDF)
2 hole song has stayed with you,
2 Not the whole song has stayed with you,

26.VIII.3. (HTML and PDF)
4 Salvation wouldwipe out the space you see between you still
4 Salvation would wipe out the space you see between you still

28.III.3 (HTML and PDF)
3 ot allow your brother to be sick, for if he is, have you abandoned him to his own dream by sharing it with him.
3 Do not allow your brother to be sick, for if he is, have you abandoned him to his own dream by sharing it with him.