2010年3月5日金曜日

ACIM の誤植

各バージョンを比較していると、普段気がつかない誤植に気づきます。それをちまちまとチェックしていると、なんだか中世の写字生になったような気分です。

日本語の本を読んでいても誤植のない本に会うことは滅多にありませんし、誤植があるのは当然のことです。しかし英語となると誤植だと分からずにかなり悩んだりもするので、解釈以前の問題として、できるだけ誤植のないテキストが欲しいものです。

ACIM の場合は最初に作られた E-TEXT に含まれていた間違いがそのまま見過ごされている場合が多いですね。Urtext はその誕生は HLC に先立ちますが、E-TEXT は HLC の後になりますから、HLC の E-TEXT の誤植や句読点をそのまま引き継いでいる場合がかなりあります。次の例は FIP 版にある誤植をそのまま HLC のE-TEXTが引き継いでいるところです。 25.VIII.7.3をみると…

What could He be to them except a devil dressed to deceive, within an angel’s cloak.

最後がクエスチョンマークになってませんね。(第三版では直されているでしょうか?)これが HLC を誤植まで忠実に写そうとした HLC Replica に入り込みます。HLC のタイプ原稿にはクエスチョンマークがあるのですが、延々と校訂版の Annotated HLC まで引き継がれています。これなど見れば誰でも分かるのでたいした問題ではないけれど、やはりちゃんとしたテキストが欲しいなぁと思いましてこつこつやっています。

次は 25.VIII.6.4  別におかしくなさそうですが、どうでしょう?

Nor can they trust Him[Holy Spirit] not to strike them dead with lightning bolts torn from the “fires” of Heaven by God’s Own angry Hand.
神御自身の怒れる手によって天の炎から引きちぎられた lightning bolts で、聖霊が彼らを打ちのめして殺さないということを、彼らは信用できない。

HLC では lightning が lightening になっています。lightning だと名詞で「稲妻・電光」、bolt も稲妻・電光ですから lightning bolts だと同じ意味の名詞が二つ並んでおかしいですね。しかしそういう言い回しがあるのかと思い、 Urtext を見ると lightning 、ノートでは lightening でバージョンごとに揺れ動いています。結局正解は lightening で現在分詞が形容詞として bolts に繋がっていると考え、「閃く稲妻」で帰着しました。

また逆に FIP のおかげで E-TEXT の誤植に気づくこともあります。
HLC T 19 L 14. の最後の文章、FIP でいうと19.IV.D.21. 第19章の最後です。

Yet it is given you to see this purpose in your holy Friend, and recognize it is your own.

文法的におかしなところはありませんが、FIP と比較すると is your own の is が as になっていました。HLC のタイプ原稿を見ても as なので E-TEXT 化するときに紛れ込んだ間違いです。全部調べられるだけ調べてみると Jesus’ Course in Miracles(2000)、 Blue Sparkly(2002)、Corrected HLC(2006)、CIMS Original Edition(2007)、Annotated HLC(2009) 全部 is のままです。最初に紛れ込んだ E-TEXT の過ちを誰も気がつかずに出版してしまったようです。

0 件のコメント: